教育センター・
教育委員会の声

デジタル教科書、最も重要なのは導入した後の運用です!!

群馬県前橋市では2016年10月より市内全小・中・特別支援学校でデジタル教科書を導入いただき3 ヶ月(2017年1月現在)が経過しました。
導入後の活用率が全国で課題となっている中、運用開始直後から全校で高い頻度で活用されております。これは全国でも稀にみる浸透の速さです。

教育委員会の声

前橋市教育委員会 学校教育課 指導係 指導主事 黛さま /今泉さま

EduMallを導入したきっかけを教えてください。

 全校の無線ネットワークと指導者用タブレットPCの整備を進める中で、授業でのより有意義な活用を図るためには、ソフト面の充実が重要と考え、デジタル教科書の導入を決めました。導入方法の検討にあたっては、コンテンツが年間契約なので初年度に複数教科を入れ易く、次年度より利用ログ(※)を参考に購入する教科や学年を再検討できる点、そして配信サービスであるため、各端末へのインストールが不要で導入時や教科書の部分改訂等で生じる余分な手間やコストが省け、常に最新のコンテンツを利用できる点などにメリットを感じ、EduMallでの導入となりました。
(※EduMallでは各校の利用頻度を一覧で数値化することができます)

運用開始から3 ヶ月(2017年1月現在)、全ての学校でデジタル教科書の利用が浸透していますが、何か利用促進のために取り組まれたことはありますか?

  運用開始後は約2 ヶ月かけて教科ごとに小学校で2回、中学校で1回ずつ全13回の研修会を実施しました。毎回各校より1 ~ 2名程度の先生が必ず参加しました。研修は「メーカーによる操作説明」「指導主事による模擬活用」「先生方のワークショップ」の3部構成で行いました。単なる操作説明に終始せず、指導主事が自ら模擬活用を実演、それを受けて先生一人一人が考えた活用場面や方法を発表し合うという流れです。

 この研修により、先生方は実際にデジタル教科書を操作し、具体的な活用イメージをもった上で学校に戻るので、現場での教材研究や教室での実践のハードルが下がったのだと思います。

 また、前橋市では以前より実物投影機を各教室に常備しており、教科書などを拡大投影して活用する習慣が先生方に根付いていたことも、大きな要因かと思われます。

現場の先生に今後の活用で望むことはありますか?

 あくまで授業の主役は、児童・生徒たちの主体的な思考や活動です。先生の説明や発問、黒板やノートなどの活用は、それらを促すための従来からの手立てであり、その一つとしてデジタル教科書やタブレットPCなどが新たに加わったにすぎません。授業の中で、「この場面でこう気づかせたい、考えさせたいから使う」という明確な目的のもと、決してICTありきの授業にならないよう意識しながら活用して欲しいと思っています。

現場の先生の声

前橋市立城南小学校校長 後藤さま

普通教室のICT環境と活用について教えてください。

 教室は、常設無線アクセスポイント、プロジェクタ、デジタルテレビ、マグネットスクリーン、実物投影機、指導者用タブレットPC、そしてEduMallによるデジタル教科書が整備されています。黒板を広く使いたいときや綺麗に写真等を見せたいときはデジタルテレビ、コンテンツを大きく見せたいときはプロジェクタを使うなど場面によって機器の使い分けをしています。
 タブレットPCの画面を、無線で拡大投影できるので、基本的に机間指導を行いながらデジタル教科書を操作しています。児童が前に出てきてスクリーンの文字を指さしながら説明をしたり、成果を発表したりと児童が主体的に学ぶ機会も増やすよう意識しています。

デジタル教科書をどのようなシーンで活用していますか?

 教科によって異なりますが、授業の導入段階で課題を児童全員で確認・音読させる、デジタル教科書の一部を見せ、それに対しグループで考えた意見を出し合う際によく活用しています。また特に社会科では動画などもよく再生します。
 デジタル教科書には多くの機能がありますが、文字や挿絵の拡大、マーカー、手書き機能を頻繁に使います。特にタブレットPCだと手書きが容易にできます。児童の席まで行き、児童にその場で意見をタブレットに記入させ、全員で共有するようなシーンも見られます。
 実際にデジタル教科書を利用しているのは、45分の授業時間のうち多くても10分程度です。あくまで教材の一つとして、教科書やノート、先生が作ったプリントと併用して使い、デジタル教科書が常にメインということではありません。

デジタル教科書を活用することで児童の反応はいかがですか?

 教科書の一部に注目させるとき、やはり通常の教科書とデジタル教科書とでは児童の集中がまったく違います。全員の視線が前に向き、同じ場所を見るので、どこに着目すれば良いか迷ってしまう児童がいなくなります。また、指示が伝わりやすくなるので、身に付けさせなければいけない内容を効率的に指導することができ、理解したことを活用する学習の時間を十分に取ることができるようになりました。